一番苦しめられたのは唾液がのみこめないこと
救急病院での入院中、一番苦しめられたのは唾液がスムーズにのみ込めないことだった。
唾液の飲みこみ方を忘れてしまったような感じ。
健康な時には全く意識せずにできていることで、ほとんど自動的にのみ込んでるんだと思うんだけど、気が付けば口の中に唾液がどんどんたまっていってしまう。
のみ込まなきゃ、と思うんだけど、あれ?ツバってどうやって飲み込んでたっけ?って考えてしまってノドを通っていかない。
ちょっとたまっては頑張って飲み下すのを繰り返すから、ずっとそのことばかりを考えることになって、これを永遠に続けるのかと気が滅入ってくる。
そのうちすぐに痰が絡んできて鼻も詰まるので呼吸困難になってくるので、看護婦さんに鼻からの吸引を頼むことになる。これが毎回地獄の苦しみ。鼻やノドにあんなチューブを突っ込まれて大丈夫なはずがなく、思いっきりえずき咳き込み涙を流すことになる。
身体が動かないのはもう当然のこととして受け入れられてしまっていて、もうどうしようもないんだけど、日々、毎秒毎秒、痰と唾液に苦しめられて、一瞬一瞬を生きていくのに誰にも知られず戦っているそんな日々が毎日続いていた頃だった。